レポート:No.14島会議「島の教育会議」

2018年1月13日、隠岐開発総合センターの島民ホールにて、一般社団法人海士町観光協会と島根県立隠岐島前高等学校魅力化プロジェクト、地域・教育魅力化プラットフォームで第14回島の教育会議を開催しました。

1.大野圭祐(隠岐島前高校魅力化プロジェクト)「隠岐島前高校魅力化プロジェクトも悩んでいます。」

魅力化PJが誕生してから10年。過去を踏まえ、これを次にどう生かしていくか、多くの課題がある中で、次の10年で私たちは何を目指すのか。これらが私達の次の課題です。そもそも10年の大きな成果は「島前地域に高校が残った」ということ。その上で残った高校を、生徒が集まり続ける、先生が行きたくなる、より「魅力的、持続的な高校」にするというのがこれからの挑戦です。山内町長は「島前高校教育魅力化プロジェクトは成功事例ではなく挑戦事例である」と話されています。次の10年の挑戦の始まりに、会場の皆さんにも熟議でじっくり語り合い、伴走いただきたいと考えます。

2.伊藤学司(文部科学省初等中等教育局財務課長)「学校はどうかわればいいの?」

これからの人口減少、グローバル社会の中で、豊かで活力ある社会を維持するためには、教育で一人ひとりの力を引き出し、生産性を高める必要があります。日本はPISAでも高い教育水準を示しており、数学や理科の点数は高い一方で、役立つ、楽しいということは全く思っていないという傾向があります。また、自己肯定感や社会での自己有用感が低く、問題意識をもって行動し、変えていこうとする状況に至らないのも大きな課題です。

人口知能AIが飛躍的に進化していますが、人とAIの違いは、自ら感性を働かせながら目的に応じ総合的な問題解決を行うことができる点です。変化に受け身ではなく、自分たちが学び行動することによって社会を変えていくということを、各教科の学習を通じて促していきたいと考えています。キーワードは、社会に開かれた教育課程。社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、より良い社会をつくるという目標を社会と共有していくこと。これからの社会を作り出していく子どもたちが、社会や世界と関わり合い人生を切り拓いていくために求められる資質・能力を教育課程において明確化し、育んでいくこと。そして、教育の目標を社会に開き、地域の人的物的資源も活用して社会との結びつきを強め、学んだことが社会でどのように役に立つのか繋げていくこと。

幼小中高だけではなく、大学入試そのものも改革しようとしています。自分で思考・表現し相手に伝える力は今までの入試では測ることができませんでしたが、実社会では提示される選択肢があるわけではなく、複雑な判断が求められます。日本の学校は学力の育成以外にも色々な役割をしているため、従来学校がやってきたことに、地域の方や外部の方も関わって貰うという形で体制を変えていくことも必要です。ここ島前地域のように、教育の充実を通じて人を呼び込んでいく流れや、地域課題解決のために自分達に何ができるか考えるような授業導入も進んできています。日本が元気であり続けるための取組が、子どもたちの幸せにも繋がっていくということを願っています。

3.岩本悠(一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォーム共同代表)「教育魅力化と未来の教育」

「あそこだから」問題を突破すべく島根県内で挑戦し、4月には高校の魅力化、地域の魅力化を県内のほとんどの地域で行うことになっています。また、「2020年代の県立高校の将来像について(案)」を策定し、県立高校の将来像のパブリックコメントを行っている最中です。

今年度は国が高校の指導要領を通じてビジョンを出し、来年度は県が入試改革をどう変え、主体性・協働性・探究性をどう組み込んでいくか。その上で各県立高校は、業務を減らしつつロードマップを描いていきます。2021年度は新しい高校入試を実施し、2022年には新しい指導要領で入学してきた生徒が入ってくる大きな転換期と位置付けられます。

地域・教育の未来をつくるポイントとして、1つ目は大人の姿勢(教育指針との一貫性)。主体性を身に着けるためにはアクティブラーニングなのではなく、大人たちが主体的に体現し、その中で子どもたちが育つことが重要です。2つ目は組織を超えたチームシップ。個人頼み(人柱モデル)から、協働チーム(チームシップ)へ。3つ目は、地域を超えた共学共創。孤軍奮闘(1校/1地域)から、共学共創(コミュニティー)へ。今日はその一つのきっかけになるといいと思います。

4.「わがトコ・わがコト熟議」

◇どの大人から変わるのか、変わるためには何が必要ですか
(伊藤)その人が関わる立場から。行政は行政、地域は地域から。ただ、教師が忙しすぎて変わることに着手できないという課題があるため、文科省でも改革に取り組んでいる。
(岩本)自分から変わるしかない。例えば自分も多忙のコントロールをし始めた結果、うまくいっている。何を手放すかと、やるべきことの必要性を意識付けすることができた。

◇学校を開いて協働していくために、何がボトルネックになっていますか。
(伊藤)西の島根、東の長野(信州学)というが、長野県では地域の公民館の活用度が高い。公民館主がコーディネーター的な動き方を実現している。

◇学校がどう変わればいい、に対して、学校が変わらずにいたほうがいい、というメリットは何ですか?
(大野)学校の多くは変わらなくていいと考えているが、一方で変わらないために変わるというのも必要か。今は学校という箱が不要でも十分に機能する。しかし例えば共創する場として、学校に行くということを変えないために学校が変わり続けるという点も重要。

◇地域を超えた共学・共創をどうやって進めていきますか。教育委員会など。
(岩本)本音で語れるようにすることが必要。
(伊藤)課題設定をしっかり適切に行うことで、組織の壁を超えられる。課題設定のみで9割成功と学んだ。

◇魅力化の対象はなぜ高校ですか?
(伊藤)高校はほとんどの子どもは通う、共通で最後に過ごす場所としてとても大事。小中学校と異なり、地域と分断され聖域になっている。また、国の政策としても高校については空洞になっていたが、だからこそ魅力化が重要である。
(岩本)地域における最高学府であり、空欄地域である。だからこそ余白、ポテンシャルが高校にはある。国(大学入試)から始まり、県の高校への施策、引き続き小中への波及とつながる。

◇島前の魅力化はどこを目指してすすんでいますか?一番の課題は?
(大野)学校周辺の魅力化という視点がこれまでの魅力化。公立塾、寮、コーディネーターなど。本丸である学校という機能そのものの見直し、および魅力化を図るのが次の挑戦だろう。一番の課題は、どうやってそれを持続させていくのか、50年などの長期スパンでの視点。

5.最後に

今回の島会議は、台風の影響で一度延期になり、当日もお足元の悪い中にもかかわらず、隠岐島内も含め日本各地から総勢約90名の方に参加いただきました。
熱意をもって日本全国からご参加いただいた参加者の皆様、海士町まで足をお運びいただいたゲストの皆様、島会議を成功させるためにご尽力いただいた島前高校魅力化プロジェクト、地域・教育魅力化プラットフォームの皆様には心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました!!